う蝕制御学分野の歴史
教室の沿革
昭和38年 (1963年) 4月 | 歯科保存学第一講座 開講 総山孝雄教授 就任 |
昭和57年 (1982年) 5月 | 細田裕康教授 就任 |
平成 7年 (1995年) 4月 | 田上順次教授 就任 |
平成12年 (2000年) 4月 | 大学院大学への組織改組 う蝕制御学分野へ移行 |
令和 3年 (2021年) 9月 | 島田康史教授 就任 |
外来での臨床活動
むし歯科では主にう蝕に対する修復処置に関して、基礎的ならびに臨床的研究を基に,開設当初より一貫して、歯質への高接着性能を生かすことで歯質の削除量が最小限で済む“患者さんと歯に優しい治療法”コンポジットレジン修復を行ってきました。これらの研究成果を生かしたう蝕治療法は、2000年にFederation Dental International(FDI)により、最小限の侵襲(Minimal Intervention:MI)によるう蝕治療として、世界的に認知されるところとなりました。また、最近の患者の審美的な要求の高まりとともに、審美的歯冠修復法や、変色歯に対するホワイトニング処置についてもMIの概念に則り,行なっております。
研究活動
- 歯科用OCTの開発と臨床導入
- ボンディングシステムの歯質接着性の評価
- Super Toothに関する研究
- 接着性修復の非破壊適合性試験
- コンポジットレジンの重合挙動特性評価
- レジンコーティングによる接着性間接修復物の適合性、接着強さの向上
- 歯の光学的特性の測定
- レジンコアによる無髄歯支台築造
- 咬・摩耗症の検討
- カリエスリスクの判定
- う蝕原性細菌の歯質への初期付着能の評価
- 接着性修復材料の生態適合性の評価
- フッ素徐放性修復材料、CPP-ACPと二次う蝕抑制効果
- う蝕除去法の評価
- 審美歯科材料の開発、評価
- 臨床研究による評価
教育活動
学部教育
う蝕や咬耗・磨耗、歯牙破折、酸蝕症、変色歯など、歯の硬組織疾患に対する診査・診断、治療を行うにあたり、必要となる保存修復学の原理と技能について、理解・習得させることを目標とする。現在の保存修復治療は、歯質接着性材料を用いることなしに行うことはできない。したがって、歯質接着のメカニズムおよび歯質接着性材料に関する深い知識とその修復術式について習得する必要がある。これらのことを考慮し、教育・実習を行う。
1 | 第3学年では、保存修復治療に必要な歯の形態と機能の回復について理解を深めるため、歯型彫刻実習を行う。また、臨床での基礎理論を理解するため、臨床イントロダクションの講義と実習を行う。さらに臨床現場はどのようなものか身をもって感じさせるために、むし歯外来にて病院体験実習を行う。 |
2 | 第4学年では、保存修復学の講義および基礎模型実習を行う。講義では、う蝕および歯牙硬組織疾患の病態の把握とその診断法ならびに予防法、切削器具の種類とその使用法、修復材料の種類、窩洞形成法と修復処置法についての最新の知識・術式を教授する。また、基礎模型実習では講義と有機的に関連させながら、抜去歯および人工歯を組み合わせて各種修復法について、特に必要最小限の歯質削除と接着を応用した歯質保存的な修復方法を習得させる。 |
3 | 第5学年では、基礎選択実習で当分野を選択した学生に対し、接着修復についての知識をより深めるため、基礎的もしくは臨床的な実験を計画し、研究指導を行う。また、臨床予備実習では臨床総合実習への導入として、附属病院むし歯外来において診断および保存修復の相互実習を行う。 |
4 | 第6学年では、臨床総合実習を通じて、う蝕をはじめとする歯牙硬組織疾患に対する保存修復に関する幅広い学問的知識とそれに裏付けられた技術を体得し、近年要望が高まってきている審美歯科修復処置についても指導し、口腔の健康保持・増進のため、患者の立場に立って医療を行える、また、社会的要求にあった歯科医師の育成を計る。 |
卒後教育
研修医および専攻生には、臨床現場において保存修復治療が適切に行えるよう最新の知識・技術の習得を目指し、指導を行い、良質な歯科医師の育成を計る。
大学院生に対しては、先端的、国際的な研究を目指し、世界をリードする基礎研究者となりえるような教育を行うと同時に、臨床研究者および歯科医学教育者としての育成を計る。